きみは進化のために何ができるか? バカやブスの存在理由について。 (『CUT』2004 年 12 月) 山形浩生 鏡をのぞきこんで「なぜ自分はもうちょっと見た目がよくないのか」とため息や涙を漏らしたことのあるあなた。なぜ神様は自分をもうちょっと頭良く作ってくれなかったのか、とお嘆きのあなた。それにはちゃんと、人類進化上の理由があったのです。それを説明する、悲しくもおもしろい本がでましたよ。ニコラス・ハンフリー『喪失と獲得』だ。 進化と遺伝と心の話というと、日本ではドーキンスが普及してきた直後に、竹内久美子がとてもいやな形で汚染して、下ネタおやじギャグで悪しきセクハラ現状維持の屁理屈をこねるトンデモ分野という印象を構築してしまった(新潮社の「進化論の現在」シリーズは、彼女の訳や解説であるが故に手を出さなかった人がかなりいると思う)。国内ではそれに対抗できる人材があまりなく、なんかいかがわしい