死んだはずの上司が生きている。この恐ろしい情報がもたらされてから、体の震えが止まらない。奴だ。奴が来たんだ。素早い動きで部下を串刺しし、漆黒の闇の中、スローモーションで立ち上がり不敵な笑みを浮かべる上司=部長の姿が僕の脳裏に蘇る。 「ゲロからクソを生み出すのが営業の仕事だ…」「女房の配偶者が死んだ…」「御社の社員にはブラックの血が流れてますなー」といっては同僚や得意先を混乱に陥れてきた営業部部長が無縁仏になって早一年。僕個人としても、十年もの長きに渡ってお世話してやったのに、怨みを晴らす機会が得られなかったのは痛恨の極みだ。今、僕に出来ることといえば、部長の小汚い骨壷に落書きすることぐらい。 死者に鞭を打つとは人でなしめ!と罵られるかもしれない。けれど、死人に口無し。部長は僕に過度の緊張を与えて僕を不能にし、ストレスを与えることで僕の精子量を激減させ、結果、僕は子供を持つというバブーな未来