【中山由美】昭和基地をめざして南極海を航行していた南極観測船「しらせ」について、南極地域観測統合推進本部は11日、基地まであと18キロの地点で接岸を断念したと発表した。周囲は厚さ5メートルの海氷に1メートルの積雪があり、前進できなくなった。断念は2季連続。基地への物資輸送が滞り、観測への影響は避けられないという。 しらせは、基地へ届ける燃料などの物資1082トンを積んでいる。越冬には最低でもその7割は必要だ。しらせが基地へ約1キロまで近づければ、パイプを延ばして基地へ燃料を送り込めるが、18年ぶりに接岸できなかった昨季は、搭載していたヘリコプターと雪上車で約20キロの距離をピストン輸送した。だが、予定量の6割強しか運べず、燃料は基地の備蓄に頼っている。 今季は、昨年末時点で約20キロまで迫ったが、その後、方向を変えても進めなくなった。一方、海氷表面には気温の緩みで巨大な水たまりが広がっ