福島第一原子力発電所のタンク付近の観測井戸の水から、高濃度の放射性物質「トリチウム」が検出されています。混迷をきわめる「汚染水」問題で、突如浮上してきたトリチウム。警鐘をならす専門家もいますが、現状におけるその危険性はどれほどでしょうか。 法定基準値を超えたが 東京電力は9月14日、観測井戸から1リットル当たり15万ベクレルのトリチウムが検出されたと発表しました。8日の検査では同4200ベクレルだったといいますから、5日間で約36倍、トリチウムの濃度が上昇したことになります。これは法定基準値の6万ベクレルをはるかに超える値です。また、すでに8月19日には、同原発にごく近くの海で採取された海水から同4700ベクレルものトリチウムが検出されたと報じられていました。 トリチウムとは「三重水素」ともいい、水素の放射性同位体で、放射線の一種であるベータ線を放出します。ただそのエネルギーはセシウムなど