原作はスウェーデンのベストセラーなのだそうだが、寡聞にして読んだことはない。3年前にスウェーデンでも映画化されていたようだが、そちらも未見。 北極圏に近い国の冬の話なので、画面が寒い寒い。雪や霜の白さに昔ながらの暗色系の石と木の内装がよく馴染んで美しい。そうかと思うと若旦那の最新の家は北欧風ミニマルモダンで明るく直線的なデザインだったりして、その対比が鮮やかだ。同族グループ企業の一族が島の中に点在する家に散らばって住んでいる。実直な老頭首の家はすっきりとしたシンプルな外観ながらどっしりと落ち着いており、その兄である老人が住む家は古臭くごちゃごちゃしている。それぞれの家の様子が登場人物のキャラクター性を表しているようで面白かったな。 本土と橋一本で繋がっている島に住む富豪一族というのが、いかにもミステリらしい道具立てであるとともに、一族という閉鎖された関係が生む陰惨さを判りやすく補強する。企