数年前に兄が自殺した。 いつも死ぬ死ぬ詐欺を家族にしていて、でもなんとなく自分には「あぁ死ぬのかな」って思ってた。 覚悟を決めたような顔でもなく、言葉でもなく、親からいつものようにこれからどうするのか、という問いに対し 「迷惑かけないように死にます」と言い残してちゃんと死んだ。 兄の苦しみは当時の自分にはわからなかった。とにかく問題児で、両親の注意は兄に惹きつけられていて、私は兄の文句を毎日日々聞きながら、生きてきた。 親にこれ以上迷惑をかけないように、堅実に生きようとして真面目であるべきだと感じていた。 自分と違って、普通に学校へいくことも、働くことも、人と接することが満足にできない兄が鬱陶しかった。自分ができることをなぜできないのか。 人が出来て当たり前のことが何一つできない。そんな兄の愚痴をいつも車の助手席で、運転する父から聞きながら、だったらもう家から追い出しなよといったとき、「あ