心から信頼の置ける世界というものを想像してみよう。そこでは真実があまねく行き渡り,判事も警官も錠前屋もゴシップコラムニストもお役ご免。人間社会は規律正しく,うんざりするほど退屈になってしまうだろう。 人の心を読む機械ができると,そんな社会が現実になる。ただし,時代遅れのポリグラフ(ウソ発見器)では力不足だ。ポリグラフは人の考えを測っているのではなく,血圧や呼吸など思考の結果に生じる生理的な現象を手がかりに,当人がウソをついているかどうかを推定しているにすぎない。 現在ではもっと優れた手法が可能になっている。ペンシルベニア大学のラングリーベン(Daniel Langleben)らは機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)を利用して,一連の質問に応答する被験者の脳を詳しく調べた。あるときには被験者に偽りばかりを答えてもらい,別の状況では真実を答えてもらった。これを互いに比較した結果,ウソをつくときに
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