安倍総理を始めとして、戦前の日本を肯定しようとする人々は根強く存在する。対外拡張政策の是非について、例えば“侵略戦争”であったか否かで議論が道徳的観点から行われるのだが、もっと対外膨張戦略が戦略的にナンセンスだった事は認識されても良いと思う。そういう観点から戦前の軍部を強く批判しているのが「マクロ経営学から見た太平洋戦争」だ。 読みやすい本ではない。著者の森本忠夫氏は海軍航空隊員として従軍した経験があるためか、「夜郎自大」などと言う言葉で感情的に批判を行っているし、戦略的・戦術的問題の指摘が交錯しているため、整理された議論が展開されているわけではない。理論的背景も不明確なので、どこがマクロ経営学なのかも分からない。しかし、物量的な面からの太平洋戦争の戦略的問題点として、以下が繰り返し指摘されていて興味深い。 外交的失敗。陸軍がその政治的影響力の低下を気にし、満洲に関して米中に一切の妥協を拒
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