l  東京商工会議所千代田支部地域活性化委員会は「アキバビジネス考現学プロジェクト」を立ち上げ、変化の激しい街No.1(日本経済新聞「東京の街イメージ調査06」)となった電気街の“秋葉原”を取り上げ、歴史と変遷を経て今日ある秋葉原で活躍している経営者の横顔を捉えて秋葉原の全体像を探ることにした。 l  変化が激しいことはその歴史を見ると、時代の変遷が分かる。“秋葉原”を代表する電気街は、今萌えを主体とした捉え方をして、“秋葉原”を全体像として捉える傾向が強い。しかし、いまだに電気街を象徴するかのように、真空管や電気･電子部品を売っている店も活躍している。いろいろな電気に関係するものを売っている店と萌えを売っている店が共存し、またここ1、2年に竣工なった高層ビル群には産学連携と称して時代を切り開く新しいものを生み出そうとする実験場の様相も呈している。今までになかったオフィスとしての新しい顔も

アキバビジネス考現学――――シリーズ５ 吉田博高氏に聞く 株式会社虎の穴代表取締役社長 ●電気街で急成長を続ける「柔らかい」商品群 「新しいアキバ系ヒット商品を頭ではわかっていても、それが実際にどんなものか、今の若者がどんなものに熱中しているのか、実感としてわからない」 これは今回、私が最初に抱いていた疑問であると同時に、おそらく多くのビジネスマンに共通の想いであろう。秋葉原が変わった、変わりつづけているということは、時代の趨勢に敏感なビジネスマンなら誰でも知っている。しかし、たとえばコミック関連商品で急成長を続ける株式会社「虎の穴」（店名は「とらのあな」）の商品を、一度でも手にとって見たことのある人がどれだけいるだろうか。私が、同社社長の吉田博高氏を訪ねたのも、仕事というより好奇心のほうが勝っていたことを告白しなければならない。 会社概要に掲げる事業内容は、コミック・玩具・個人出版物・ア