脳組織の一部で、思考や運動などを担う「大脳皮質」を、さまざまな細胞に変化できるヒトのES細胞(胚(はい)性幹細胞)から作ることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の永楽元次研究員と笹井芳樹グループディレクターらが成功した。胎児の段階にあたる未発達な皮質だが、単独の脳細胞でなく、数種類の細胞が数多く組み合わさった脳組織を作ったのは世界で初めて。将来は、アルツハイマー病などの解明や薬の開発、脳梗塞(こうそく)の後遺症軽減などにつながる可能性があるという。 6日、米科学誌「セル ステム セル」(細胞・幹細胞)の電子版に論文が掲載された。 永楽さんたちは、約3000個のES細胞を、直径約1センチのくぼみの中で培養液に浮かせ、細胞が自然に集まって固まりを作るようにした。必要な薬品を加えるなどすると、培養開始から46日で、中心が空洞の直径2ミリの球形組織ができた。 できた組織は、4