「Oh 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」 マイクを持った兵士が煽る。 「Oh 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?」 大観衆は両手をあげてそれに呼応する。 長い長い溜めがあったのち、 「インディアァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」 地響きのような歓声とともに、会場のボルテージがブチ上がった。 僕は呆気にとられてそれを眺める。 一体、ここはどこだっけ ── ここは、インドとパキスタンの国境だ。 ◇ インド人への古典的なイメージといえば、炎を吐いたり手足が伸びるほかにも、「ターバン」があろう。だが実際のところほとんどのインド人はターバンを巻かない。なぜならターバンはインド人の8割を占めるヒンドゥー教徒ではなく、わずか2%のシク教徒の文化だからだ。 シク教徒には教育水準の高い層が多く、イギリス統治時代のインドでは海外で活躍する人材を多く輩出した。そのため「インド人 = ターバン」のイメージが根付いたとも言われ