芦花公園さんら大豊作支えた新鋭作家の活躍 2022年のホラー小説シーンをふり返ると、ふたつの大きな傾向が浮かび上がってくるように思う。ひとつは新世代作家のめざましい躍進。そしてもうひとつが、他ジャンルで活動してきた実力派作家のホラーへの参入だ。このふたつのトピックを軸に、この一年のホラー・怪奇幻想小説をふり返ってみよう。 まず言っておきたいのは、出版不況にもかかわらず2022年もホラーは大豊作だったということ。本連載の年末総括では毎年のように「豊饒」「豊作」と書いている気がするが、今年もその例に洩れず、毎月追い切れないほどのホラー小説が刊行されている。とりわけ夏場の新刊ラッシュはすさまじく、本格的なブームの到来をあらためて印象づけるものだった。 中でも活躍が目立ったのは、この2、3年にデビューした新鋭作家である。昨年『ほねがらみ』(幻冬舎文庫)が話題を呼んだ芦花公園は、都市伝説ホラーに挑ん