学生作家。 ゲイ業界で色々やってきた人。 ■ブログは基本的にはどこから読んでも大丈夫なようになってます。一つ一つのタイトルテーマで完結してます。
学生作家。 ゲイ業界で色々やってきた人。 ■ブログは基本的にはどこから読んでも大丈夫なようになってます。一つ一つのタイトルテーマで完結してます。
18歳の時、あたいはもう寸前まで迫っていた高校の卒業式を待たずに家を飛び出して、都市部のゲイ風俗に入店していた。 はじめは自分の住みかも無かったので、ゲイ風俗の寮に寝泊まりしていた。 寮と言っても、営業中(13時から深夜まで)はプレイルームとして使用している部屋だったので、ベッドは男くさいし、窓もなく換気の悪い室内は鬱屈としているもので。 「こんなとこにおったら気持ちが参るし、はやく寮を出て一人暮らししなきゃな〜〜」と思っていると、右も左も分からない世間知らずな新人のあたいを、すでに何度も指名してくれていたお客様が、 「もちぎとは腹を割って話もできるし、ちゃんと信頼できるから、俺の名義で部屋借りちゃっていいよ」と言ってくれた。あたいはラッキーと思ってすぐに一緒に部屋を探しに行った。いや今思うとあたいも彼もすごいな。 というわけで、あたいは晴れて東京で一人暮らしを始めた。安いワンルームアパー
(⚠️登場していただいたボーイと再会して共に内容を編集しました。当時の法制度では利用できた薬のことなども話してありますが、そのまま掲載してあります) ある日、指名から戻り、店長の仕事を引き継いで店内作業をしていた時のこと。 あたいの働くゲイ風俗には、お客様のご意見を投稿するフォームを備えてあったが、そこに来ていた意見に一つ、普段見かけないような投稿があった。 【ダイスケくんの胸が気になります。体が弛んでるんじゃなく、胸だけが出ていて気持ち悪いです。ニューハーフならウリセン(ゲイ風俗)ではなくニューハーフヘルスで働くべきでは?】
ある日、ゲイ風俗のロング指名(泊まりコース)で、お客様とオイスターバーに行っていた時、《牡蠣は亜鉛が多いから食べたら精力が旺盛になる》という話から発展して、ゲイならではの猥談を二人でこっそり話して盛り上がっていた。 するとお客様は白ワインを数杯お代わりしたのちに、お酒の勢いに任せてあたいにポツポツと過去を打ち明け始めた。 「いやぁ、もちぎくん。実はね、若気の至りでも無いけど、私はね、5年ほど前に一度痴漢をしてしまったことがあるんですよ」 あたいは少し驚きつつ、白ワインに口をつけて誤魔化した。 今こうしてゲイ風俗に指名に来てくれている男性だ、バイセクシャルだとしても…
その日、あたいがゲイ風俗の控え室に帰ると見慣れない顔の子が二人ほどいた。 ゲイ風俗には絶えず新人ボーイが入店してくる。 そして自分が出勤していない間に新人が店に馴染んでいて、長い間挨拶できていないことなどもしばしばある。 早速いい機会だと思って、あたいは二人に名前(源氏名)を名乗った。 「あたいもちぎ。二人とも新人くんでしょ? 何かわからないことがあったら、すぐにあたいか店長に聞いてね」 そう言うと二人は顔を見合わせてクスクスと笑っていた。 「俺たち、他店からの渡り鳥なんで、ゲイ業界長いっすよ。別にわからないこととか無いですから」 渡り鳥とは、ゲイ風俗の移籍経験があるーーつまり複数の店の在籍経歴を持つ男の子のことだ。 あたいが働いていた新宿には大手だけでも当時4店、他にもウリセンバーやマンション型のウリセン、マッサージ店も含めればたくさんのゲイ性産業が存在していた。従事する人間の数も地方の
ある日、あたいはゲイ風俗の店番をしていると、クレームのお電話を閉店間際に一本いただいた。 口調こそ優しかったものの、とても残念そうな声色で、 「新人のナズナくん、タチができるって書いてるけど、一回もしてくれないよ」と伝えてくれた。 ゲイ風俗のサイトに掲載してあるボーイプロフィールには、セックスポジションの可能or不可が必ず表記されてある。それがその子の売り出しポイントで、お客様が望むプレイに応えられるかどうかの判断基準になるからだ。 まず、ゲイ業界では相手のアナルに挿入することができるポジションを《タチ》と呼ぶ。 そして自身のアナルに挿入されるポジションを《ウケ》と呼ぶ。(年代が
ある日、ゲイ風俗の締め作業(閉店の為に後日の予約管理や、本日分の指名料の精算、あとは掃除や洗濯業務など)をしていると、店長が眉間にシワを寄せながら、控え室にいた数人のボーイを招集した。 「おい、お前らには話しとくけど、先々月に入ったボーイのシンイチロウ。あいつ今日付でクビにしたから、客に聞かれても変なこと言わないようにしてくれよ。あと、もちぎ、店内アルバムからあいつの写真消しといてくれ」 あたい達は少しピリついた雰囲気の店長に、固唾を飲んだ。
① https://note.mu/motigi194/n/n56fbb09db7f2 ② https://note.mu/motigi194/n/n06f44c65a1d9 ◆ 「もっちーはさ、彼氏欲しいとか思わんの? ふつーあたしらの年頃だとみんな恋人欲しくなるもんじゃん。 あたしも一度血迷っておまえに告白したくらいだし」 高校2年の夏の終わり。バイト先のファミレスの裏で休憩中、カナコはそう冗談交じりに悪態ついてきたわ。 出会ってから一年半、バイトも一緒にし始めて半年。 カナコとあたいはまるで旧知の仲の様な、気の置けない友達になっていたわ。 というのも異性という意識の中にある、恋仲への発展というフェーズがあたいから完全に消えたことにより、ある意味彼女もラクになったんだと思う。 「僕さ、初恋の人が好きやねん。まだその人以外、あんまり考えられへんかなぁ」 ーーそれに当時出会う男たちは、買春
① https://note.mu/motigi194/n/n56fbb09db7f2 ◆ 「あたし、ダンス部入っててさ、そん時ダンスの振り付けの本買いに行ってたのな。てか、あの本屋は昔からめちゃくちゃよく行くんだわ。そしたら見かけてさぁ、BLの棚に男がウロついてニヤニヤしてるとこ。珍しいじゃん? 男がBLなんて。だから覚えてたんだよ、顔」 夕方、廊下。委員会からの帰り際。彼女はそう続ける。 「おまえだろ? BL見てたの」 BLーーそれが指すのはボーイズラブ、つまり男性同士の恋愛モノの作品全般のこと。そして当時はそれがまだ女性だけが楽しむものという認識が大きかった。 あたいは冷や汗をかきながら(恐らく平静を欠いた態度だったけど)なんとか言い訳を並べた。 「ね、姉ちゃんがBL好きで、僕も前に読んだことあるねん。で、作品としてさ、めちゃくちゃ面白くて、それで研究対象?的な感じで読んでるねん〜。
中学生ゲイ(14歳)が、53歳既婚者の教師に惚れて迷走しまくってた話 ① https://note.mu/motigi194/n/nb5f1421883a8 ② https://note.mu/motigi194/n/nc23deade9fa8 ③ https://note.mu/motigi194/n/n44fa39ead857 ◆ 「もちぎ、隣町のファミレス行こう。みんなで打ち上げするぞ」 卒業式終わり。あたいが公園でボーッとしてると、同じクラスだった友達が、手に持つ卒業証書が入った筒であたいの頭を小突きつつ、そう声をかけてくれた。 「僕はいいや。お金もないし、なんか行きたくないねん」 「え〜……そっか。じゃ今度さ、高校上がる前にみんなで野球するから、それは来てよ」 代替案を出してくれる友達。とっても気を使って貰ってたのに、なんだかあたいは心が荒んでいて生返事しかできなかった。 「てか
◆ このお話の舞台は、とある地方の中学校よ。 そこは、今はもう廃校となった小学校と、限界ギリギリの生徒数で保ってる別の小学校の、二つの校区から入学してきた子ども達が通うボロボロの中学校だったわ。 木製の旧校舎と小さなコンクリートの校舎。 山のふもとに位置する運動場はとてつもなく広く、裏山に繋がる校舎裏の林にはフェンスすら無いから、そこから登校することだってできたの。(今の治安や社会観念では考えられないセキュリティよね) 教室には磨りガラスに、レトロ石油ストーブだとか、今じゃ見られないものがたくさんあった。 生徒数はたしか1クラス、26人くらい。 それが学年で2クラスしか無かったと覚えてる。 つまり、とっても田舎ってこと。 だからそんな人が少ない環境じゃ、もちろんマイノリティーも確率的にいないに等しくてーー その中学校に通う14歳のゲイの男の子は、 「たぶんオトコが好きなオトコなんて、この町
「もちぎさん、なんか面白い話してよ」 ゲイ風俗の控え室。後輩ホモがヒマそうにテレビを見ながら、あたいに注文してきたわ。 日曜、夜19時。ゲイ風俗のヒマな時間帯だ。 そもそも日曜は予約のお客様以外は来づらい。 あたいも後輩ホモも22時からのロング(泊まり指名)まで指名も無くのんびりとしていた。 「じゃあ、あたいが高校生の時に仲良しだった腐女子の友達に告白されて、断るためにもゲイだってこと打ち明けたら『はよ言えや』ってキンタマ蹴られた話するわね」 「言ってんじゃんかよ、オチまで。あらかた言ってるし、その話オレ聞くの4回目だし」 すると、それを聞いていた一人のボーイが、あたいに声をかけてきたわ。 「もちぎ、お前その子と付き合わなかったんか?」 「うん。だってあたいゲイだし。でも、その子とは今も友達よ。あたいの受験勉強も手伝ってくれたの」 すると彼は小さく「そっか……」と漏らしながら、あたいの隣の
「もちぎ。お前、老け専ゲイだったよな?」 深夜。ゲイ風俗店内。 指名終わりでのんびりと帰り支度してるあたいに、同僚のボーイが話しかけてきたわ。 「うん、そうよ〜。50、60喜んでってヤツよ」 あたいが某生命保険のCMを真似て返すと、彼は苦笑しながら、あたいの隣に座った。 「お客様ってさ、年配の人が多いじゃん? お前、タイプの人間が来たらどうしてんの?」 えらく直球な質問だった。 人もまばらなゲイ風俗の控え室。あたいはそういった俗な話も、特に気にせず話せるなって思って、膝を進めて彼に向き合った。 「そうねぇ、タイプ云々抜きにいい人だなって思って尊敬したり、信用したりはするけど……絶対に恋愛感情は持たないわ」 「ふーん……そっか……。ごめんな? こんなこと聞いて」 彼は考えるように塞ぎ込む。あたいはカバンを床に置いて、問いかけた。 「なんかあったの?」 「……ほら、他のボーイって同年代とかイケ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く