インターネット上では、マイノリティーや社会運動などへのバッシングが20年近く繰り返されています。なぜ、弱者がたたかれるのか? 1990年代からネット掲示板などのコミュニケーションを注視してきた伊藤昌亮成蹊大教授は、背景に「反・反権力」とでも呼ぶべき思考と、従来の弱者像に当てはまらない「弱者」、たとえば「弱者男性」の存在を指摘します。【聞き手・鈴木英生】 弱者を「強者」と誤認する「階級闘争」 ――昨年、ネット掲示板「2ちゃんねる」の開設者でもある実業家のひろゆきさんが、沖縄の反米軍基地運動をやゆするツイートで約28万もの「いいね」を集めました。伊藤さんが、雑誌「世界」3月号に掲載した「ひろゆき論」で、その背景に「『真の弱者』の階級闘争がある」と書いていたのは印象的でした。 ◆「真の弱者」は、バッシングなどをする当事者たちの自己認識を推測した表現です。彼らの多くに、「反・反権力」とでも言うべき