※この記事は2018年1月25日に掲載された記事を再掲しています。 「それで、君はいつ、監督になるんだ」 2017年12月23日、サラエボ市内のホテル。10年ぶりの再会を懐かしむ阿部勇樹に、イビチャ・オシムさんはこう投げかけた。 かたわらのアシマ夫人が、遠い目をして言った。 「イワン(オシムさん)は38歳の時、お医者さんにひざの手術が必要だと言われて引退したわ。それでサラエボに戻って、監督を始めたの」 阿部もこの時、すでに36歳だった。オシムさんが続ける。 「君もいつでも、そういうチェンジができるように、準備をしたほうがいい」 いよいよ、話が熱を帯びる。そう感じたアシマ夫人が、ペットボトルの水を差し出した。10年前、夫が脳梗塞で倒れてから、ほぼ習慣になっている。 それを制して、オシムさんが語り出す。