ブックマーク / honz.jp (149)

  • 『世界の不思議な音 奇妙な音の謎を科学で解き明かす』 - HONZ

    ラジオ番組の取材で地下の下水道に入ったら、不思議な音響に遭遇した。それがきっかけで、書の著者トレヴァー・コックスは”音の驚異”のコレクターとなった。マンチェスターのソルフォード大学に勤務するコックス教授は、来は室内音響学を専門としている。インドア派かと思いきや、世界各地から音に関する情報が寄せられると、自ら体験するために機材を抱えてフットワークも軽やかに現地へ赴く。 行き先は人工の建造物のこともあれば、自然の造形物のこともある。ふだんは建築音響学者として、理想的な音を生み出すために音を制御する方法を考えている著者が、”音の驚異”の収集家としては対照的に、音を征服するのではなく、驚異的な音に耳をゆだねる。あるときは世界最長の残響に包まれながら、そこへの道のりに思いを馳せて探検家の気分に浸る。またあるときは人の居住地から遠く離れた砂漠で、砂の歌声に胸を高鳴らせる。こんなふうに音を求めて、ス

    『世界の不思議な音 奇妙な音の謎を科学で解き明かす』 - HONZ
  • 『ドイツ軍事史 その虚像と実像』 - HONZ

    著者は冒頭「序に代えて」で次のように述べる。「筆者は、(偉大なドイツ陸軍に係る)定説の否定、偶像破壊に走っている。読者は、そう感じられるかもしれない。しかしながら、筆者が述べることは、今年、2016年現在の常識、もしくは定説にすぎない。もし、それが衝撃を与えるとすれば、日におけるドイツ軍事史理解の遅れがなさしめていることだとしか言いようがなかろう。そのような不幸な溝を埋めるために、書がいささかなりと役にたつなら、筆者としては望外の幸せである」。 この言やよし、そして書の内容は、この言葉通り明解極まりない。後の祭りだが、僕も同じことを拙著(「仕事に効く教養としての『世界史』」、「世界史の10人」、「『全世界史』講義、Ⅰ、Ⅱ」)のまえがきに書くべきだった。もちろん、書と拙著とでは書物としての「出来が違う」ことは十分自覚しているが。 第1章「戦史をゆがめるものたち」。怪しげな「新説」が一

    『ドイツ軍事史 その虚像と実像』 - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    いの快感が忘れられない『人魚姫のごめんねごはん』 2018年11月19日 僕はありがたいことにべ物の好き嫌いがないので、お肉も野菜も大好物ですが、魚や貝といった海鮮も大好きです。 なにせ魚介類は種類も豊富だし、調理方法で味も千変万化。それこそ毎日べたって飽きません。...

    マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー
  • 『ブータン、これでいいのだ』文庫版あとがき by 御手洗 瑞子 - HONZ

    新潮社編集部から届いた山吹色のA4封筒を開けると、分厚い紙の束が出てきました。1枚目の紙には、「ブータン、これでいいのだ」の文字と、見慣れたぶどうのマーク。それを見て、じわじわとうれしさが込み上げてきました。 小さなころからよく読んでいたためか、新潮文庫はあこがれでした。2012年に単行『ブータン、これでいいのだ』が新潮社から出版されて以来、書店で新潮文庫の前を通る度に妙にそわそわし「いつか、ここに私のも並ぶといいな」と夢見ていました。今回文庫版を出させていただくことになり、またあらためて多くの方に手に取っていただける機会を賜り、心よりうれしく思います。なにより、ブータンという小さく魅力的な国のことを、日のみなさんにこれだけ知っていただけるようになったことは、大きなよろこびです。 今回文庫になるということで、久しぶりに『ブータン、これでいいのだ』を読み直しました。が出たばかりのころ

    『ブータン、これでいいのだ』文庫版あとがき by 御手洗 瑞子 - HONZ
  • 『殺人犯はそこにいる』「真犯人」の存在を明らかにした "調査報道のバイブル" 文庫解説 by 牧野 洋 - HONZ

    徹底した「調査報道」のスタイル 調査報道のバイブル──。書を読み終え、こんな表現がぴったりではないかと思った。 正直に言うと、民放テレビ業界については「そこは報道ではなくエンターテインメントの世界」と見下していた。そのため、メディア業界を取材するなかでも、ジャーナリズムという視点からこの業界を観察したことがなかった。書の著者が民放テレビ局の記者だと知り、自分の無知と思い込みを恥じた次第だ。 書は、足利事件をはじめ北関東で起きた一連の事件を「北関東連続幼女誘拐殺人事件」としてとらえ、真犯人「ルパン」に迫るルポだ。すでにテレビ報道を見たり雑誌記事を読んだりして、この事件の概要を知っている人も多いだろう。だが、一つの物語としてまとめて読むべきである。 なぜなら、事件の大きさはもちろんのこと、ジャーナリズムが来担うべき機能について考えさせられるからだ。著者は事件の全容を描きつつ、自分自身が

    『殺人犯はそこにいる』「真犯人」の存在を明らかにした "調査報道のバイブル" 文庫解説 by 牧野 洋 - HONZ
  • 『されど人生エロエロ』人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた - HONZ

  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    いの快感が忘れられない『人魚姫のごめんねごはん』 2018年11月19日 僕はありがたいことにべ物の好き嫌いがないので、お肉も野菜も大好物ですが、魚や貝といった海鮮も大好きです。 なにせ魚介類は種類も豊富だし、調理方法で味も千変万化。それこそ毎日べたって飽きません。...

    マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー
  • 悪魔が仕掛ける軍拡競争 『カッコウの托卵 進化論的だましのテクニック』 - HONZ

    カッコウ、である。見たことがあるような気もするが、記憶は定かでない。しかし、「♪静かな湖畔の森の陰からもう起きちゃいかが」と鳴くという童謡のおかげで、その名前はよく知られている。なんとなく爽やかだが、そんなイメージとは裏腹に、カッコウは『托卵』という眉をひそめたくなるような方法によって繁殖することで有名な鳥でもある。 托卵というのは「鳥が他種の鳥の巣に産卵して、仮親に卵を抱かせひなを育てさせる習性(ウィキペディア)」のことだ。カッコウは、ヨシキリなど他の種類の鳥の巣に卵を産み、自分では卵を温めたり、孵った雛に餌を与えたりすることのない、勝手な鳥なのだ。最近では、好きな男の子どもを産んで、金持ちの男に育てさせる托卵女子とかいうのもいるらしい。托卵女子も悪魔っぽいが、カッコウの雛もまるで悪魔だ。 カッコウは、宿主の巣、すなわちカッコウの雛を育てさせられる鳥の巣、に卵をまぎれこませる。産み落とさ

    悪魔が仕掛ける軍拡競争 『カッコウの托卵 進化論的だましのテクニック』 - HONZ
  • 『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』恋も仕事も、わがまま上等 - HONZ

    アナキスト大杉栄のパートナーで、関東大震災後に大杉とともに虐殺された伊藤野枝の評伝だ。 過激なタイトルだが、ページをめくって腰を抜かす。いきなり「あの淫乱女!淫乱女!」と太字で書いてある。岩波書店が心配になるほど、冒頭から衝撃的だ。 野枝は福岡県の地元ではいまだに逆賊扱いで、十数年前にテレビ局の取材を案内した人によると、同年代の存命のおばあさんが「地元の恥をさらすのくわあああ(大意)」と大声でいきりたって殴り込みをかけてきて、淫乱淫乱叫んでいたというのだから穏やかでない。 とはいえ、おばあさんの気持ちもわかる。大文字の歴史では、伊藤野枝は淫乱、逆賊にくくられても否定できない。 勝手に決められた縁組みによる結婚を破棄しようと逃亡して、女学校の恩師の家に転がり込むし、恩師を捨て自ら大杉栄との四角関係に身を投じるし、平塚らいてうに「あんた仕事しないなら、私に雑誌ちょうだい」と迫るし。大杉が拘束さ

    『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』恋も仕事も、わがまま上等 - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    いの快感が忘れられない『人魚姫のごめんねごはん』 2018年11月19日 僕はありがたいことにべ物の好き嫌いがないので、お肉も野菜も大好物ですが、魚や貝といった海鮮も大好きです。 なにせ魚介類は種類も豊富だし、調理方法で味も千変万化。それこそ毎日べたって飽きません。...

    マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー
  • 『ルポ 同性カップルの子どもたち アメリカ「ゲイビーブーム」を追う』 - HONZ

    性的マイノリティ(LGBT)の権利保障の動きが世界的に進んでいる。LGBTとは、Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイ・セクシャル)、Transgender(トランスジェンダー)の頭文字をとった総称であり、2000年のネーデルランド(オランダ)を皮切りに、ベルギーやスペイン、カナダ、南アフリカ同性婚を認める国が次々と出てきた。 06年にはLGBTの権利の擁護をうたったモントリオール宣言が採択され、15年時点で同性婚を認めている国・地域は24にのぼるという。登録パートナーシップ制などを含めると、G7では日を除くすべての国が対応済みだ(3国が同性婚を是認)。アメリカでは、オバマ大統領が12年に同性婚を支持すると表明し、15年6月には連邦最高裁判所が同性婚を憲法上の権利として認める判決を下して、その流れを加速させた。LGBTの国家首脳も2人誕生している。 これに

    『ルポ 同性カップルの子どもたち アメリカ「ゲイビーブーム」を追う』 - HONZ
  • 『自衛隊の闇 護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺事件の真実を追って』 - HONZ

    もしも、自らが所属する組織の不正を知ったら、あなたは、その不正を正す勇気を持てるだろうか? 幹部自衛官でありながら、自衛隊組織の不正を、正々堂々と通報した男がいる。彼の階級は、3等海佐(以下、3佐)。「自衛隊は噓をついている」と裁判所に訴えたのだ。 2014年4月23日、東京高等裁判所。21歳の自衛官・Tさんの”いじめ自殺”を巡る裁判の控訴審判決が下された。国に約7300万円の賠償命令。一審の440万円を大幅に上回る遺族側の逆転勝訴判決だった。 この控訴審判決に重大な影響を与えたのが、3佐の存在だ。 そもそも3佐は、一審のときに自衛隊側の弁護士役に当たる指定代理人を務めた人物である。 裁判の経過の中で、自衛隊側は、Tさんが自殺した直後に隊員たちに実施した「直筆アンケート」を「破棄した」と主張し続けていた。しかし3佐は、破棄されたはずのアンケートを目撃してしまった。 「これは一体、どういうこ

    『自衛隊の闇 護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺事件の真実を追って』 - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    いの快感が忘れられない『人魚姫のごめんねごはん』 2018年11月19日 僕はありがたいことにべ物の好き嫌いがないので、お肉も野菜も大好物ですが、魚や貝といった海鮮も大好きです。 なにせ魚介類は種類も豊富だし、調理方法で味も千変万化。それこそ毎日べたって飽きません。...

    マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    いの快感が忘れられない『人魚姫のごめんねごはん』 2018年11月19日 僕はありがたいことにべ物の好き嫌いがないので、お肉も野菜も大好物ですが、魚や貝といった海鮮も大好きです。 なにせ魚介類は種類も豊富だし、調理方法で味も千変万化。それこそ毎日べたって飽きません。...

    マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー
  • 『帝国の参謀 アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦略』 ペンタゴンのヨーダと呼ばれた男 - HONZ

    常に裏舞台で働くことを好み、自己宣伝や世間からの注目を極端に嫌ったアンドリュー・マーシャルの名を知る者は少ない。しかし、「ペンタゴンのヨーダ」と呼ばれ40年以上にわたって政府高官としてアメリカの安全保障に貢献してきたこの男の明晰な頭脳から生み出せされた戦略からは、誰もが無縁ではいられない。マーシャルは、冷戦中のソ連がCIAの推計よりもずっと多くの軍事負担に苦しんでいることを指摘し、精密兵器や広域センサーなどの技術進化がもたらす「軍事における革命」という概念を提案し、何より多くの研究者や高官に多大な知的影響を与えることでアメリカの戦略に変革を起こし続けた。マーシャルがいなければ、世界地図は現在のものとは違ったものになっていたはずだ。 書では、これまで知られることのなかったマーシャルの「知の歴史」が、第二次大戦以降のアメリカの国防戦略の変遷とともに描かれる。マーシャルの業績の多くは未だに機密

    『帝国の参謀 アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦略』 ペンタゴンのヨーダと呼ばれた男 - HONZ
  • 『闇の女たち 消えゆく日本人街娼の記録』 - HONZ

    やっと終わった。文庫の作業が終わったという意味だけではない。ふだんは見ないようにしていながらも、部屋の片隅にずっとうずくまっていた童子のような存在と向かい合い、やっとうちから出ていってもらうことができたような感覚に今私は浸っている。自分の仕事を褒めるのは抵抗があるが、いい内容だと思う。その満足感、責任を果たせたことの安心感に浸るとともに、童子がいなくなったことの寂寥感もある。 今から十数年前。雑誌の連載で上野の男娼に話を聞いてみようと思った。さして深いことを考えていたわけではなく、ちょっとした思いつきに過ぎなかったのだが、この時の内容がすさまじく面白かった。この面白さは2人の個性に負うところも大きいのだが、彼らは、彼らの存在を越えて私に大きな課題を与えてくれた。 古い雑誌ではよく見ていたノガミ(※上野)の男娼とこの2名がきれいに重なった。その時代から立っていたわけではないのだが、その世代の

    『闇の女たち 消えゆく日本人街娼の記録』 - HONZ
  • 『戦争の物理学』戦史と物理学の歴史の見事な融合 - HONZ

    戦争にまつわる物理学のを書いている」著者がこう話すと、周りからは「物理学が戦争と何の関わりがあるんだい?」という言葉が返ってきたという。続けて「ああそうか、原子爆弾のことだね」と言われたという。『戦争の物理学』という書のタイトルを読んで同じように思った方も多いだろう。もちろん、書では原爆の事も論じられている。しかし、それだけではない。人を殺傷する際の運動エネルギーも全て物理の法則にのっとり行われている。書は古代から現代までの兵器の変遷を物理学の視点から読み解いた、一風変わった作品だ。 書は、それぞれの時代の兵器の変遷を説明し、その兵器がいかに活躍したかを戦記風に記述した後、兵器にまつわる物理的な話へと移る、という構成が取られている。このため、歴史好きの人にもお勧めできる一冊だ。 例えばロングボウという弓の話は「100年戦争」のさなか、ロングボウの活躍により圧倒的な兵力差を誇る重

    『戦争の物理学』戦史と物理学の歴史の見事な融合 - HONZ
  • 『大学でまなぶ日本の歴史』そうだったのか!が次々に - HONZ

    歴史の基礎を一冊で総覧すると言えば、高校の教科書がまず浮かぶ。高校時代は試験のために仕方なく開き、太文字を拾って闇雲に暗記するものの、短時間で詰め込んだものは短時間で記憶の彼方へ。教科書なんて無味乾燥、淡々とした記述の羅列…。子供たちはみんなそう思っている。 だが、大人になってみると分かってくる。実は、教科書ほど基的な教養を網羅しているものはない。知っておいて損はないことが過不足なく記述されているのだ。 何年か前に歴史の教科書でおなじみの山川出版社が『もういちど読む 山川日史』を出版し、ベストセラーになったことを覚えておられる方も多いだろう。かくいう私も買ってみたが、実に新鮮だった。時代の流れがさらさらとわかるし、あらためて興味をひかれるところも次々に出てきて、読んでいて楽しかった。試験のためではなく、楽しみとして読む教科書は、「おとなの教養」の基を固めてくれるこの上ない

    『大学でまなぶ日本の歴史』そうだったのか!が次々に - HONZ
  • 今週のニュースはこれを読め!4/16〜4/22 - HONZ

    今週のニュースはこれを読め!4/16〜4/22 HONZ

    今週のニュースはこれを読め!4/16〜4/22 - HONZ
  • 『ゲノム革命 ヒト起源の真実』 ゲノムは口よりものを言う - HONZ

    ヒトにもっとも近縁な類人猿はチンパンジーだ、ヒトとネアンデルタール人は交配していた、ヒトが出アフリカを果たしたのは5万年前ではなく10万年前にもさかのぼる。最先端の分子生物学は、ヒトの起源について驚くほど多くのことを教えてくれる。「ゲノム時代」と呼ばれる現代では、新事実が発見されるスピードは加速度的に増している。つい先日も、「ネアンデルタール人絶滅は人類の病気のせい?」という目を引くニュースが伝えられていたように、人類の足跡は徐々にだが着実に明確になりつつある。 ヒトの起源に関する最新成果の多くはゲノム解析によるものだというが、非専門家にはゲノム解析が具体的にどのようなものであるかを想像することは難しい。科学者たちはどのような物的証拠を集め、どのように分析し、どのようにロジックを構築して、驚きの結論を導いているのか。ゲノミクスによる霊長類起源の研究を開拓した一人でもある著者は、書を通して

    『ゲノム革命 ヒト起源の真実』 ゲノムは口よりものを言う - HONZ