日本の民間警備会社は、長嶋茂雄の「セコムしてますか?」でお馴染みになったセコム株式会社(創業当時は日本警備保障)と、オリンピックの金メダリストを起用したCMが印象的な綜合警備保障(ALSOK)が勢力をほぼ二分している。 だがその成り立ちは対照的だ。 セコムは1962年に飯田亮と戸田寿一という青年ふたりがベンチャー企業として興した会社である。水と安全はタダ、という日本の常識を破り、全く新しい警備会社を立ち上げるため、スウェーデンの警備会社からノウハウを学び、東京オリンピックの警備というビッグチャンスを掴む。 かたや綜合警備保障は、その東京オリンピックの組織委員会事務局次長、村田順が1965年に起業した。彼は初代の内閣調査室長でもあった政府の中枢にいた人物だ。東京オリンピックで民間の警備会社の必要性に気づき、政府や官僚の意見を聞きながら、をれを取りまとめて作り上げた。 そこに追い風となったのが