画を売った。江戸後期の山水画で、さほど著名ではない大徳寺の禅僧が描いた掛軸である。入手したばかりだったのだが、知り合いの美術商から「近く交換会(業者によるオークション)があるけど、何か売りたいものある?」と聞かれ、ほかの所持品何点かと一緒に渡してしまった。実は、お金に困っているのである。このところ美術品の価格が下落していて、思わぬものが安く買える。それがうれしくて、何だかいろいろ買い込みすぎてしまったのだ。 一介のサラリーマンである私にはまとまった資金などというものはないから、一方的に買い続けることはできない。新しいものを買えば、手元のものを処分してその借金を埋めなければならないのである。でも、安く買えるときは売っても安い。それをついつい忘れてしまい、買いすぎてしまう。困ったことである。 ちなみに、その軸の買値は数千円。それが何と数万円で売れた。たまにはこんなこともあるのである。「うんうん