今年,有名国立大学を卒業したある電子回路専攻の学生は,就職活動において志望先から半導体メーカーを外し,外資系コンサルティング会社や証券会社,銀行などに絞りました。指導教官である教授が「なぜ半導体メーカーに行かないのか?」と学生に聞いたとき,その答に教授は声を詰まらせてしまったそうです。学生は「先生と話をしていて日本の半導体メーカーに経営戦略がないことが分かった。そういう企業には行きたくない」と答えたのです。 以前から,「給料が高いようだ」「なんとなく華やか」「ソフトウエアに興味を持ったのでシステムを開発したい」などという動機で,コンサルティング会社や金融機関へ就職する理工系学生は結構いました。しかし,「経営戦略がないから電機メーカーに行かない」という学生は初めてだった,とその教授は言います。立派な研究成果を挙げた優秀な学生だったそうですが,だからこそ経営にも目が向いたのでしょうか。 199