インフレータブル構造物とは インフレータブルとは「膨張できる」という意味です。膜面を内圧ガスで膨らませた空気膜構造物としてのインフレータブル構造物は,地上建築物としてすでに長い歴史を持っています。1970年の「大阪万国博覧会」では多数の空気膜構造物パビリオンが出現しました。また,最近では東京ドームがよく知られています。空気膜構造物の特徴は,大空間が作れる,建造工期が短い,低コスト,地震に強いなどですが,これらの特徴は宇宙構造物にも適していると考えられます。1960年代にはアメリカが空気膜構造物を衛星構造に適用し,ECHO衛星シリーズを打ち上げました(図1)。これは地球からの電波を球形表面で反射して通信する,受動的通信衛星を狙ったものでした。しかし,その後はトランスポンダを搭載する能動的通信衛星が主流になったため,宇宙インフレータブル構造物はしばらく途絶えていました。 近年になって,大型宇宙