記憶を書き換える――。SF映画のような話が、動物実験で可能になった。「記憶」は、脳の中で何らかの変化が起こり、維持されることだ。古くからあるこの概念が、神経細胞の活動を操作する技術が進歩して実証された。偽の記憶作りや記憶を消す実験がなされている。記憶の実態解明が進む。 えさを見つけた場所、襲われた敵の姿、早く逃げるための体の動かし方……。生物は生き延びるために、遭遇する出来事に機敏に対応し、そうして学んだ情報を次に必要な時に再び取り出せる状態で維持しておく。この過程が、記憶の本質だ。 記憶は脳にたまるとギリシャ時代から考えられていた。いまは、脳内に神経細胞のネットワークがあって、情報が伝わることがわかっている。現代の研究者たちは、神経細胞のつなぎ目の性質が変化し、情報の伝わりやすさが変わることで記憶ができると考える。何らかの刺激が入った時に、その神経回路が素早く同じパターンの活動をすること
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