私の誕生日のちょうど一週間前、祖父が亡くなった。今年に入ってからだいぶ体調が悪かったようだが、入院して40日経った頃だった。祖母はずっと彼のそばで看病をしていた。 次の日、電車に乗って地元へ帰った。雨風の強い日だった。祖母の希望で家族葬を執り行った。印象的だったのは納棺。棺に祖父を納める時、こんな要心堅固な入れ物だと祖父は息苦しいのではないかと訳の分からない感情を抱いた。けれど私は彼に一切泣けなかった。私は最後に「そのうち一緒にお酒でも飲もうな」と言葉を掛け彼と別れた。そして暇を持て余した徘徊癖のある私は、火葬場をふらふらと散歩をしていた。次々にやってくる霊柩車を眺めながら「なんかすごいな」とふさわしくないことを考えながら、火葬場の代わりに煙を吐きだした。 誕生日の一週間後、持病のある私は病院へ行くため再び地元へ帰り、ついでに祖母の家に行った。祖父母宅は葬儀から一週間たってだいぶ片付いてい