社内向け開発標準の整備を手掛けるNECソフトの増田浩氏(生産技術部 経営品質推進シニアエキスパート)は,たびたび発生する赤字プロジェクトに危機感を募らせていた。プロジェクト計画に作業の抜け・漏れがあり,それが引き金となって赤字プロジェクトに陥るケースが目立っていたからだ。 例えばあるプロジェクトでは,当初の計画において移行時のマスター・データの作成作業が漏れていた。担当するプロジェクト・マネージャ(PM)は,ユーザー側で用意するものと考えていたのだ。移行フェーズに入って,PMがマスター・データの作成をユーザーに尋ねると,「こちらの予定にそんな作業はなかった。てっきりそちらがやるものと思っていた」という答えが返ってきた。結局,ベンダー側で追加メンバーを投入して難局を乗り越えたが,新たな人件費が発生し,コスト超過に陥った。 増田氏は「実施すべき作業内容を規定したWBS(Work Breakdo