JINSEI STORIES 滞仏日記、2「息子がのめり込む高校生ブランドの可能性」 Posted on 2020/02/20 辻 仁成 作家 パリ 息子が中心となって同級生らを巻き込みスタートさせたブランド企画が日々、どんどんと具体化していて驚かされた。今日はいきなり試作品を見せられてしまった。仕事をしていると息子がやって来て、トレーナーを手渡された。背中の首のところに彼らのブランドのロゴマークが入っている。前面には大きなデザイン画と英語の文章が載っていた。 「パパの意見を聞きたい、どう思う?」 まずは軽く褒めた。つまり短時間で具体化しているその行動力は素晴らしい、と。次にデザインを批判した。悪くないし、それなりに今風なのだけど、でも、ハッと驚かされる斬新さがない、と。これはきちんと話をした方がいいと思い、知り合いのフランス人がはじめた中華レストランに食事に誘ったのだ。そこでぼくらは春雨