◆結婚・出産はそれまでの生活を一変させる「大きなリスクテイク」といえる。そのため、雇用などその他の分野のリスクが大きくなれば、結婚・出産にリスクテイクする余裕がなくなり、未婚化・少子化が進むと考えられる。北欧の出生率が比較的高いことはこの仮説と整合的である。「国家による生活保証」があった共産主義諸国は比較的高出生率を維持していたが、体制が崩壊し、生活が不安定化するとともに、出生率は世界最低水準に落ち込んでいる。若年層ほど低下が大きいことは、社会の不安定化がリスクテイク余力の小さい若者を直撃したことを示唆している。日本では経済停滞、雇用環境悪化、税・社会保険料の引き上げなど、若年層の将来見通しは悪化している。年功賃金や社会保障制度など、高度成長期に定着した「高年齢層への所得移転制度」が、若者を経済的に圧迫し、未婚化・少子化を促進していると考えられる。 ◆先進国の中では高出生率として知られる北