混み合う地下鉄でふと頭上を見上げると、週刊誌の中吊り広告が2つ並んでいる。芸能ゴシップや政界スキャンダルなどの見出しに交じって、こんな見出しが目についた。「認知症になりやすい住宅」(週刊文春4/13号)、「団塊絶壁!第1回ボケへの恐怖」(週刊新潮4/13号)部数が伸びるのだろうか。高齢化が、私たちに重くのしかかっているのを感じた。 本書『がんばらない介護』は、認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟の家族3人を21年間にわたって1人で介護してきた著者がまとめた本だ。自ら介護をする傍ら、「介護に疲れた時、心が軽くなるヒント」というブログを立ち上げ、3年間で500件にのぼる介護の悩みを受けてきたという。シンプルな装丁の美しい本だが、じつは著者の汗と涙がつまった凄い本なのだ。 そんな著者が、多くの経験を経てたどり着いたのが、この「がんばらない介護」という言葉だ。介護者なら誰しも、頑張らなけれ