数学と、数学の哲学をメタ的に考える一冊。 数学は人の領域を(論理的に)超えることができる。「数学でなしうる範囲=人の抽象化できる限界」にもかかわらず、数学の範囲内の概念を対応付けることにより新たな領域を拡張することができるから。ポール・ゴーギャンの『我々はどこから来たのか? 我々は何者か? 我々はどこへ行くのか?』への応答の一つになる。数学が哲学の問題になる理由は、ここにある。 「自然数」から始める。0を入れるとか入れぬとかいった議論を端折って、1、2、3......がなぜ natural なのかというと、人の指が1、2、3......だから。10で繰り上がるのが一般化した理由も、人の両手の指の合計が10だから。ウマの指の数は一つの脚につき1本だという。ガリヴァー旅行記に登場するウマの姿をしたフウイヌム族の数学は、4進数に違いない。 しかし、知能を持つ存在が手や指を持たなかったら? 深海に