この1月に、滋賀県が「毒虫が降り、触ると死ぬ」などのデマがあった姉川地震のときの公文書を公開した。 1909(明治42)年に滋賀県北東部でマグニチュード(M)が6・8の地震が起きた。現在の長浜市で震度6、県内全域で震度5~4を記録した。同県では珍しい典型的な直下型地震で、死者41人を出した。 地震が起きた明治42年は「死に年」に通じると言われたこともあって「まもなく灰や毒虫が天から降り、触れるとすぐに死ぬ」と告げる行者が現れたほか、「大地が割れて、泥がわき出てくる」「多くの彗星(すいせい)が衝突して地球が壊れる」とデマが流された。悲観した人たちが「財産を残しても仕方がない」と散財したり、神仏に加護を求めたりしたことも伝わっている。 地震のときのデマでいちばん被害が大きかったのは関東地震(1923年)のときに、朝鮮人や、誤認された人々が数千人も殺害された事件である。 悪質だったのは、このデマ