田舎に分散して住んでいては社会が成り立たない? 河合:特に3つ目のご指摘は興味深いところですね。ただ、地方移住はよいのですが、それぞれが思い思いの場所に移り住むと人口減少社会においては問題が生じます。 今後の日本は、人口減少によって労働者も消費者も減っていきます。人口減少による国内需要の縮小と、高齢化に伴う消費量の縮小、さらに冒頭で森永さんがご指摘されたような可処分所得の縮小まで重なる、「トリプルでの国内マーケット縮小」が日本を襲うのです。 こうした状況下で、人々が分散して住んでいたのでは商圏がより速く縮小し、立地できない企業や商店が増えます。それでは生活もビジネスが成り立たなくなるので、私は「多極分散」ではなく「多極集中」で商圏を少しでも維持していく必要性を『未来の年表』シリーズでも訴えてきました。 森永:移住するにしても個々人が思い思いに田舎に住むのではなく、全国各地の「極」となる都市