9月25日、青空文庫の創設者(呼びかけ人)の一人で、8月に逝去された富田倫生さんを追悼するイベントが都内で開かれた。青空文庫は、著作権切れの作品等をボランティアが電子テキスト化、インターネット上で無料公開している電子図書館プロジェクトである。 イベントの模様などについては、各種メディアが手厚く報道していたので、ここでは一歩引いた視点から、富田さんと青空文庫の足跡にからめて、日本の電子書籍の現状と目指すべき方向性を2回に渡って探る。キーワードは「オープン」「民間主導」である。前編はこちら。 プラットフォームになれる条件 AmazonやApple、Googleと比べると、日本の電子書籍事業は、「プラットフォーム」と呼ぶには、かなり不自由でクローズドな仕組みだといえるだろう。まず、契約はオンラインで完結できないし、仕様や利用条件なども、NDAなどを結ばないと開示されない。 システム的に考えるとあ