地方のタクシー運転手の実入りとかを聞くと、下手をするとコンビニのアルバイトより酷く驚く。しかし乗務員の待遇改善が必要であれば、まず労働基準法や最低賃金法を厳格運用すべきではないか。そもそも問題の発端は、水揚げの減少を増車で補って乗務員の待遇を犠牲にした、タクシー事業者の刹那的な経営判断にあった。 深夜労働の割合が高いタクシーで最低賃金法を厳格運用すれば、野放図な増車は経営として割に合わなくなり、生産性の低い事業者は市場から排除されて自然と減車が実現する。石破農相が減反の見直しを言及するご時世にタクシーを農業に喩えるとは、なかなか味わい深いものがある。 国土交通省がタクシーの規制強化に乗り出す。新規参入の要件を引き上げるほか、台数が増えすぎた地域では減車を促す措置も講じる。現状に様々な問題があるとしても、それは業界の自主努力で解決するのが本来の道筋だ。過度の行政介入は望ましいものではない。