バンコクの路上はさまざまな乗り物が行き交う。観光客を乗せたトゥクトゥク、渋滞をすり抜けるバイク、最先端の高級車、そしてドアが開きっぱなしの乗り合いバスも黒煙を吐きながら現役だ。そこに、パステルカラーのかわいらしい見た目の車が加わった。中国企業が手掛ける電気自動車(EV)だという。日本円で200万円台からという価格帯や斬新なデザインが流行に敏感な若い消費者に受けるようだ。 タイ政府はセター首相を先頭にEVに力を入れ、2023年の新規登録台数は約7万6000台と前年比約8倍の伸び。購入を後押しする補助金給付だけでなく税制優遇による投資促進にも積極的で、24年以降に中国企業が相次いで現地生産を開始する予定だ。経済界出身のセター氏が念頭に置くのは輸出も視野に入れた経済成長の起爆剤としての可能性だが、「65年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロに」という政府の環境目標にも貢献すると目される。 実質ゼロ