「脳の迷信」を広めている研究者の責任 脳の迷信には、3歳児神話のように、研究とはまったく無関係の有名人が唱えたことで世間に広がったものもあるが、ほとんどの場合、脳科学の研究成果が多かれ少なかれ関わっている。つまり、迷信の誕生と広がりに対して、研究者も決して無縁ではない。 データの捏造ねつぞうや改変は論外であるが、たとえ真面目な研究から得た成果であっても、それをわかりやすく伝えるため、あえて簡略化、あるいは誇張して公表することで、まちがった内容で広まることがある。また、きわめて不十分なデータから大胆な結論を出したり、単なる推測や仮説をあたかも事実であるかのように断言することで広まることもある。 その背景には、常にわかりやすい解説を求めるマスメディアの存在があるが、それに迎合して迷信を広めている研究者にも大きな責任がある。