経団連の榊原定征会長は昨年末の朝日新聞などのインタビューで、「責任ある立場なら、日本経済を立て直すためには賃上げをし、設備投資を増やさなければいけない」と改めて強調し、「政府が言うからではなく、経済界の意思としてやっている」と述べた。 榊原氏は昨年11月の官民対話で、安倍政権の要請をふまえて「収益を上げた企業に前年を上回る賃上げを呼びかける」とし、2018年度の国内の設備投資額を15年度より「10兆円ほど増やせる」との試算も示した。安倍政権も経団連が求める法人実効税率引き下げの前倒しを決めるなど、政権と経団連の親密ぶりが際立っている。 榊原氏は「政権にすり寄りすぎでは」との記者団の指摘に対し、「いまは未曽有の(経済)危機。経済界が無責任に政治の批判だけをすることが、本当に国のためになるのか。言葉を慎んで欲しい」と色をなして反論した。(小林豪)