元二を送る<王維> 渭城の朝雨 軽塵を浥す 客舎青青 柳色新たなり 君に勧む更に尽くせ 一杯の酒 西のかた陽関を出ずれば 故人無からん げんにをおくる<おうい> いじょうのちょうう けいじんをうるおす かくしゃせいせい りゅうしょくあらたなり きみにすすむさらにつくせ いっぱいのさけ にしのかたようかんをいずれば こじんなからん 渭城の朝の雨は軽い土ぼこりをしっとりと濡らし、旅館の前の柳は雨に洗われて青々として、ひときわ鮮やかである。 (さて君はこれから遠く安西=あんせい=に使いするために旅立つのであるが)さあ、もう一杯飲み干したまえ。西の方(かた)陽関を出てしまったら、もう君に酒を勧めてくれる友人もいないであろうから。 さわやかな朝の光景の中に見る無限の寂しさ 本題は「元二の安西に使いするを送る」といいます。当時は柳の枝を別れ際に折り取って手渡す習慣がありました。その柳をしみじみ眺めてい