戦争を早期終結させた救世主として原爆を捉え、放射能の影響を過小評価するなどして、広島・長崎への投下を正当化する米国の「原爆神話」。広島市立大の井上泰浩教授の著書「アメリカの原爆神話と情報操作」は、その形成に深く関わったキーパーソン2人に着目し、知られざる情報操作の実態に迫っている。 2人は、ニューヨーク・タイムズ紙記者だったウィリアム・L・ローレンスと、ハーバード大学長だったジェイムス・B・コナント。前者は、極秘だった原爆開発の全貌を見届けることを許可された「見返り」に、客観報道を装って政府の世論操作に加担する。後者は、第2次大戦中の陸軍長官で国民的信望のあったヘンリー・スティムソンに原爆投下の正当化論を書かせ、「正典」として定着させた陰の主役という。 原爆投下を支持・肯定する意見が今も過半数を保つとされる米国。本書は「神話」の手ごわさとともに、神話で覆わなければ、米国民にとっても倫理的に
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