ウナギの「代用品」という言い方は味気ないと考えていたら、精進料理に野菜を肉や魚に見立てて調理する「もどき」という文化がありました。作るのも食べるのも楽しくて、しかもおいしい。お坊さんの遊び心で乗り切る土用の丑(うし)の日です。(編集委員・長沢美津子) 熱々ご飯にのせた姿は本物そっくり、食べるともちもち。「精進ウナギ」の正体は大和芋と豆腐だ。油で揚げているので食べ応えもあり、混ぜたゴボウと、黒い皮に見立てたのりが、香りと、味わいに深みを与える。作り方を「簡単! お寺ご飯」の著書もある天台宗の僧侶・飯沼康祐(こうゆう)さんに教わった。副住職を務める福昌寺(川崎市)では、夏の座禅会でふるまうのが恒例という。 仏教の教えからさまざまに発達した精進料理だが、肉や魚の姿に似せて作る「もどき料理」は、もてなしとも結びついている。飯沼さんは「肉や魚への煩悩かと聞かれますが、遊び心。手間ひまをかけて、食事を