少子化対策も即効性が期待できず、移民政策もなかなか受け入れられない日本において、経済を成長させる思わぬ秘策があるという。それは、外国人観光客という名の「短期移民」を招き、彼らにお金を落としていってもらうこと。日本の観光産業が活かしきれていないポテンシャルを開花させ、世界有数の観光大国に肩を並べるための現実的な指針を提示したのが本書である。 著者は、日本に25年住み、日本経済を分析してきた気鋭のイギリス人アナリストである。著者によると、1300万人程度の訪日客数(2014年)は、気候、自然、文化、食事という「観光立国」に不可欠な4つの条件を満たす日本にしては、驚くほど少ない数だという。日本では「おもてなし」を世界へアピールする動きが盛り上がっているが、著者はそれが的外れであることを、緻密なデータ分析によって明らかにしていく。世界の観光客の心をつかむ「日本の観光コンテンツ」と、その効果的な発信