北海道の二千メートル級の山は、本州の北アルプスと同等かそれ以上の厳しい気象条件です。荒天やオホーツク高気圧の影響を受けるときは、盛夏でも0℃前後の気温になることがあり、寒さ対策の装備は一年を通して必携と言えます。好天だからといって、雨具、防寒着などを持たずに入山する人を見かけますが、山の天気は変わりやすく非常に危険です。気象条件には関係なく、非常装備は持つように心がけて下さい。 ◆夏でも凍死 2002年6月の十勝岳(みぞれ)、同7月のトムラウシ(台風接近)の遭難死亡事故は、いずれも低体温症(凍死)でした。通常は雨具や防寒具により防ぐことができますが、今回のような暴風雨では役に立たなかったかもしれません。ずぶ濡れになった体に風が叩きつけることで、一気に体温が奪われ、やがては歩行困難・意識障害に陥ります。衣類が濡れた状態で風に吹かれることは非常に危険で、「何とかなるだろう」と荒天の中に身を投ず