この間、社会保障改革をめぐって報道される政府の考え方は、以下のように聞こえる。 「高齢化で社会保障支出(年金と医療費)の増大に歯止めがかかりません。なのでいいかげん消費税増税させてください。そのかわりに行政改革を推進しますので、あまり不支持に走るのは勘弁して下さい。」 この「見返り」として報道されるものといえば、公務員人件費(および年金)削減、独立行政法人統廃合、天下り規制など、公的セクターの雇用をターゲットにしたものが多い。たしかに公務員人件費を削減することの歳出削減効果は大きい。しかしだからといって社会保障改革の中身の議論を軽視していいということにはならない。 財源議論から中身の議論へ 1月6日に閣議報告された「社会保障・税一体改革素案について」や厚労省労政審が昨年9月に発表した「労働政策の重点事項」を見てもわかるが、公式資料にはたんにおカネを右から左へといった財源議論にとどまらない、