第53回 お金の面から見ると分かりやすい国際関係 東京財団前会長 日下 公人氏 2007年3月22日 海外債権を持つと立場が弱くなる(前回のコラム参照)。次に、周辺にも味方がいなくなる。外交にとっては大変な損だ。そして、そのとき頼れるのは自分の武力だけである。だから国際化する国は必ず軍事大国になる。 なぜかというと、国際化して金を貸すということは、それだけ金がもうかったからであり、技術力や生産力など、いろいろなものがその国にある。それらの力を少しだけ取り立てのほうに回すのだから、その国は軍事大国になる。金も技術もやる気もある大国だから、わりと簡単に軍事大国になる。 その昔であれば、金が余ると海軍を強化した。英国の海軍が世界中の七つの海を回っていたが、それは債権の取り立て部隊だった。米国海軍が世界中を回るのも同じ。1隻で何兆円もかかるけれど、「減らせ」ということにはなかなかならない