その立場の違いが際立つのが、プログラミング言語が登場したばかりの1950年代に見られる"FORTRAN vs. LISP"という構図だ。いずれも機械と人間という2つの立場をそれぞれのやり方で取り入れた言語である。 1954年に誕生した世界初の高級言語、人間にわかる言葉=数式でプログラムできるように開発されたFORTRAN(FORmula TRANSlator)は、ループアンローリングやベクトル化を取り入れ、"速く計算する"ということにこだわった。その時代背景にはコンピュータが非常に遅かったという事情がある。しかし、当時、言語の常識がまだ存在しなかったこともあり、「スペースを全部落とすなど、"人間のため"という点では未熟な部分が多かった」(まつもと氏)という。 一方、1958年に誕生したLISP(LISt Processor)は"人間のため"がFORTRANより向上している。ラムダ計算を理論
![まつもとゆきひろ氏が語る「言語の世界」の過去・現在・未来](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/528fda81eec5105d26610f1b40e6f4bd8c2b6396/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fez-cdn.shoeisha.jp%2Flib%2Fimg%2Fcmn%2Flogo2.png)