反捕鯨団体シー・シェパード(SS)が繰り返す妨害行為のため安全確保ができないとして18日、南極海での10年度の調査捕鯨が打ち切りと決まった。「今後、捕鯨はどうなるのか」。各方面に不安が広がっている。 ■影響 調査捕鯨は南極海と北西太平洋で財団法人日本鯨類研究所(鯨研)が行っている。10年度の南極海での捕獲数は、中止によりミンククジラ170頭(計画は約850頭)、ナガスクジラ2頭(同50頭)止まりで、87年の開始以来最少となった。 調査捕鯨の費用には鯨肉の販売代金と国からの補助金が充当されている。鯨研は08年度で1億6400万円の赤字に陥っており、中止が財政的に追い打ちをかけることは間違いない。鹿野道彦農相は18日、今後について「財政的な困難が予想される」と語った。 ■反発 一方で日本人の鯨離れは進んでいる。水産庁の統計では、国内の鯨肉在庫は10年末現在で5093トンと5年前より4割も増加。