http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20130417/1366223210 scopedog さんのエントリをふまえて。 中公新書の『南京事件』における秦氏の犠牲者数推定は、その推定手法から判断する限り、蓋然性と不法性が相当に高いケースに絞るという方針でなされているものと言えます。同じ『南京事件』というタイトルの新書(岩波)を出している笠原氏の場合には蓋然性や不法性を判断する際にもう少し緩い基準を用いています。これ自体は事実認識における相違というより歴史記述をめぐる理念の相違とでも言うべきことでしょう。「最低限これくらいのことはあった、と確実に言える」ことを記述しようとするのか、それとも確実性では劣るものの出来事の実際のスケールにはより近いかもしれない記述をめざすのか。私自身は、前者のような態度が史実の矮小化に利用されることを懸念しますし、その懸念は(scoped