日経平均株価が史上最高値となる3万8957円を記録した1989年。バブル景気の最高潮にあったこの年は、日本のモータリゼーションの黄金期でもあった。ホンダNSX、トヨタ・セルシオ、ユーノス・ロードスターなど各社とも個性を競い合うように次々とニューモデルを発表した。 そうしたなか、日産は1990年代までに技術力で世界一を目指すべく策定した「901運動」の集大成を投入する。先代KPGC110型の生産終了から16年ぶりに復活したそのモデルこそが、「スカイライン R32GT-R」だ。 伝説の『R』はここから始まった R32GT-Rは、当時の全日本ツーリングカー選手権(JTC)の規定である「グループA」で、勝ち続けるために開発されたモデルでもある。 グループAとは、FISA(国際自動車スポーツ連盟)によって定められたレギュレーションの一つで、JTCでは1985年から1993年まで採用された。一般の市販