遺伝子操作が生みだす新たな生命体に対して,現代フェミニズム思想の旗手ハラウェイが「共感を覚える」のはなぜなのか? 自然と人工,純と不純といった分類がもはや成り立たないハイブリッドな時代のありようをうつしだす. ■著者からのメッセージ ハラウェイにとって,遺伝子工学の物語はこのようにカテゴリーが砕け崩れてゆくことをめぐる物語である.彼女は,自分の果たすべき使命のひとつは,一般に受け容れられている定義のしかたと境界線の引き方に揺さぶりをかけること,とりわけ,ジェンダーで世の中を区切るやり方にフェミニストとして揺さぶりをかけることだと考えている.それゆえに,個人的にも専門家としても,「私のサイボーグたち」に対して愛着を感じているのだ.サイボーグたちはあっというまに世の中にあふれ,旧いカテゴリーがみな変容しはじめていることを知らせる.それにサイボーグ自身も,われわれの新しい世界の一端を分かちあう仲