最近の欧米のアート・メディアで話題になっていて、私が注目しているのが「ゾンビ・フォーマリズム(Zombie Formalism)」とピーター・リック(Peter Lik)の高額写真作品だ。アート系情報を取り扱うウェブサイトでも頻繁に取り上げられるので、聞いたことがある人も多いだろう。絵画と写真でまったく異なる分野のアート作品の話題だが、報道される視点はかなり似通っている。欧米のアート界の現状を象徴している現象ともいえるので紹介しておこう。 「ゾンビ・フォーマリズム」は、アーティスト・批評家のウォルター・ロビンソン氏が指摘する最近のアート・トレンド。ゾンビは死体のまま蘇った人の総称。直訳するとゾンビのように蘇った、型式主義のフォーマリズムという意味になる。 それは、35歳以下の比較的若い男性アーティストが制作した、見やすく、内容が希薄な、マンネリ化した抽象作品のことをさしている。インテリア・