警視庁公安部が経済産業省に提出した温度実験データのグラフ(上)と、毎日新聞が入手した実際のデータのグラフ(下)。提出分は測定温度が低かった折れ線1本が除外されていた。(提出に当たって調整されたため、測定箇所の名称や計測時間の目盛りが二つのグラフで異なる) 軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外為法違反に問われた化学機械製造会社「大川原化工機(おおかわらかこうき)」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された冤罪(えんざい)事件で、同社の噴霧乾燥器の温度実験を巡り、警視庁公安部が実験データを一部除外して経済産業省に報告していた疑いがあることが判明した。立件には、経産省から「輸出規制品に該当する」との見解を得る必要があったが、伏せたデータ分は輸出規制品の基準に達しておらず、公安部にとって不利な証拠だった。 大川原化工機側が起こした国家賠償訴訟で、2023年12月の東京地裁判決は公安部と東京地検が捜
大川原化工機の賠償訴訟で控訴へ 警視庁の「違法捜査」認定に不服―東京都 2024年01月10日13時07分配信 警視庁本部=東京都千代田区 噴霧乾燥機の無許可輸出容疑で逮捕され、後に起訴が取り消された機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の社長らによる損害賠償請求訴訟で、警視庁公安部の捜査を違法とした東京地裁判決を不服として、東京都は10日、東京高裁に控訴する方針を固めた。関係者への取材で分かった。 国と都に1億6000万円賠償命令 不正輸出事件の起訴取り消し―捜査「合理的根拠欠く」・東京地裁 昨年12月27日の地裁判決は、公安部と東京地検の捜査について、「合理的な根拠に欠ける」と違法性を認定。都と国に計約1億6000万円の賠償を命じていた。 公安部は2020年3月、軍事転用可能な噴霧乾燥機を中国に無許可で輸出したとして、外為法違反容疑で、大川原化工機の大川原正明社長ら3人を逮捕。その後、
8歳男の子、車にはねられ眼底骨折 上田署「物損事故でもよいのでは」→母の抗議で一転人身事故に 募る不信感【声のチカラ】 「子どもがけがをしたのに物損事故にされそうです。力を貸してください」。上田市の女性(45)から本紙「声のチカラ」(コエチカ)に助けを求めるメッセージが届いたのは5月だった。聞けば、小学3年の四男(8)が近所で車にはねられて眼底骨折などのけがをしたのに、上田署に物損事故として処理されそうだという。なぜそんなことになるのか、上田署の事故対応を追った。(牧野容光) ◇◇◇ 女性によると、事故があったのは4月30日の昼下がりだ。四男は三男(11)と一緒に自宅の庭でボール遊びをしていた。すると、ボールがフェンスを越えて敷地外の市道へ。四男は転がったボールを拾い、庭に投げ入れ、戻ろうとしていた時に乗用車にはねられた。 「ぎゃっ」。女性は悲鳴を聞いて外に飛び出した。四男は路上にうつぶせ
軍事転用可能な機器を輸出したとして逮捕・起訴され、その後一転して起訴が取り消されたメーカー「大川原化工機」の大川原正明社長(74)らが、東京都と国に計約5億6000万円の損害賠償を求めた訴訟。6月30日には、捜査を担当した警視庁公安部の男性警部補が証人として出廷し、自ら「(事件は)捏造です」と証言する異例の展開を迎えた。 写真はイメージ ©iStock 「同社は液体を粉末に加工する『噴霧乾燥機』で、国内トップのシェアを占めます。警視庁や東京地検がかけた疑惑は、この噴霧乾燥機に生物兵器に転用できる滅菌機能があり、輸出の際に必要な国の許可を得ていなかった、というものでした」(司法担当記者) 警視庁公安部は2018年10月、同社を外為法違反容疑で家宅捜索に踏み切った。大川原氏らは誤解を解くべく、機器の図面を提供するなど全面協力。幹部らが300回弱の任意聴取に応じたが、20年3月に大川原氏ら幹部3
回転寿司チェーン大手「スシロー」の岐阜県の店内で、醤油ボトルや湯呑みをペロペロと舐めて元の場所に戻すなど少年による迷惑行為が映った動画がSNSで拡散された問題で、スシローの運営会社「あきんどスシロー」が問題を起こした少年に対し、約6700万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴したことがわかった。 【写真34枚】嫌悪感を覚える迷惑行為 加害女性は加工が外れて素顔が露わに 今回のスシローの提訴を受け、週刊ポストは迷惑行為を受けたほかの企業に今後の対応を取材したところ、多くの企業が「警察の捜査を受けてから今後の対応を考える」と民事での損害賠償請求を否定しなかった。 その一方で、苦しい状況に置かれているのが、回転寿司チェーン「すし銚子丸」だ。銚子丸では今年2月、横浜都筑店で卓上に置かれていたガリの容器に電子たばこの吸い殻が混入していることが発覚。関東にあるすべての店舗で、ガリや醤油、わさびといった共
二之湯智国家公安委員長(参院京都選挙区)は10日の衆院予算委員会で、自民党京都府連が国政選挙前に、候補者から集めた金を地方議員に配ったとする文芸春秋の記事内容を認めた。ただ、党勢拡大のためだとして選挙活動用の資金との指摘は否定した。 文芸春秋3月号は、府連が国政選挙のたびに、衆院選や参院選の候補者から金を集め、選挙の活動費として府議や市議に1人当たり50万円を配布したと報じた。 立憲民主党の城井崇氏は「選挙買収になると分かっていて金を配ったと報じられている。これは事実か」とただした。二之湯氏は「府連が国会議員から寄付を受け、府議と市議に再度、政治活動資金として配布しているのは事実だ」と配布は認めたうえで「党勢拡大に使ってくださいという趣旨だ。個々の議員の選挙活動に使ってくださいということではない」と述べ、買収の意図は否定した。
北海道警ヤジ排除訴訟の閉廷後、訴訟への思いを語る原告の大杉雅栄さん(左から1人目)と桃井希生さん(同2人目)ら=札幌市中央区の大通公園で2021年9月10日午後4時57分、高橋由衣撮影 「ジュース買ってあげる」――。2019年7月、参院選の街頭演説で安倍晋三前首相にヤジを飛ばした20代の女性に、北海道警の警察官がこう声を掛けるなどして、デモ参加者を排除した詳細な状況が、法廷で明らかになった。 ヤジを飛ばして警察官に排除されたとして、札幌市の男女2人が道に損害賠償を求めた訴訟で9日、証人尋問が札幌地裁(広瀬孝裁判長)であり、原告の桃井希生さん(26)に対処した女性警察官が出廷した。 女性警察官は、桃井さんのヤジを制止し、その場から移動させた。その後、札幌駅近くのビルから出てきた後に突然走り出した桃井さんは「明らかに不審だった」と説明。その後、桃井さんを追跡し「ジュース買ってあげる」と持ち掛け
日本大アメリカンフットボール部の悪質反則問題で、警視庁が、傷害罪で刑事告訴されていた日大の内田正人前監督と井上奨(つとむ)前コーチについて、宮川泰介選手に対し相手を負傷させる危険なタックルをするよう指示した事実は認められないと判断したことが12日、関係者への取材で分かった。警視庁は近く刑事告訴に基づき傷害容疑で2人を書類送検するが、東京地検立川支部は2人の立件を見送るとみられる。 宮川選手については、試合の動画解析などから傷害の実行行為を認定し、書類送検する。ただ、関西学院大の被害者側から寛大な処分を求める嘆願書が出ており、地検支部はこうした状況を考慮して最終的な処分を決定するとみられる。日大の第三者委員会と関東学生アメリカンフットボール連盟規律委は宮川選手の証言などを基に、内田氏らによる危険なタックルの指示があったとしていた。 アメフットのタックルなどスポーツ上の行為は、ルール内であれば
「IPアドレスが判明すれば、捜査は半分終わったようなものだと思っていた。想定外の事態ですよ」 ウイルス感染したパソコンが遠隔操作され、インターネットで相次いで犯行予告や脅迫が行われていたことが明らかになると、ある警察幹部はこう漏らした。 IPアドレスとは、ネットに接続するパソコンや携帯電話などの機器ごとに割り当てられる識別番号のこと。データをやりとりする際のネット上の「住所」に相当し、個々の利用者にネット接続業者から割り振られる。 警察幹部の嘆きの声は、ネット犯罪の捜査ではIPアドレスから情報をたどり、容疑者の特定につなげるケースが多いことから漏れたものだった。 一方で、サイバーテロの捜査経験がある警視庁OBは「ネット犯罪の手口は日進月歩。ましてや相手のパソコンを乗っ取るハッキングの技術は、ネット犯罪の象徴だ。パソコンが生活の一部になるにつれて、こうした犯罪が起きてくるであろうことは十分に
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