臨時国会を開かない、閉会中審査に出ない、記者会見しない―。新型コロナウイルスの感染再拡大が続く中、安倍晋三首相の発信力低下が際立っている。三つの「ない」には、野党や記者からコロナ対応などに関する追及を回避する思惑が透ける。 「私もこうした形で節目節目に話をしているが、菅義偉官房長官も西村康稔経済再生担当相も毎日会見を行い、説明している」。首相は4日夕、官邸で記者団から臨時国会や記者会見を開くよう求められ、こう答えた。「それでも国民は不安だ」と指摘されても同様の説明を繰り返し、「逃げないでください」という声も飛んだが、答えずに官邸を後にした。 政府・与党は早期の臨時国会召集に否定的だ。菅氏は4日の記者会見で「今はコロナ対策に全力を尽くすべきだ」と主張。観光支援事業「Go To トラベル」を巡る迷走や新型コロナウイルス特措法改正などが国会審議で取り上げられ、政権への打撃になることを避けたいのが