前々回、前回の記事からの続きとなる。 これまでの記事では、宇宙政策委員会やJAXA、三菱重工などの宇宙企業の間で、そしてそれぞれの中でも、次期基幹ロケットに求めるものが異なっており、にもかかわらず次期基幹ロケットの開発がすでに決定された、という現状について書いた。 では、このまま次期基幹ロケットの開発が進んだとして、完成したロケットはどうなるのだろうか。世界の商業ロケットと戦えるのだろうか。 まず価格については、JAXAの資料1によれば、固体ロケットブースターを持たない構成で50億円、固体ロケットブースターを2本持つ構成(中型の静止衛星打ち上げ用)では60億円、そしてブースターを6本持つ構成(大型の静止衛星打ち上げ用)だと80億円ほどと見積もられている。 対してファルコン9は5,650万ドル(現在のレートで約58億円)である2。ファルコン9の静止トランスファー軌道への打ち上げ能力はファルコ